井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 宝塚星組 柚希礼音の「オーシャンズ11」(小池修一郎脚本・演出 東京宝塚劇場)

<<   作成日時 : 2012/01/12 07:23   >>

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星組の「オーシャンズ11」を観る(2012年1月4日)

アメリカ映画を小池修一郎が脚色演出した。映画は未見。
映画を観た人によれば、楽しい映画だと言う人と面白くない映画、という人と二通りいた。両者共通しているのは、話が映画とは違うという声。

 小池の舞台らしく破たんなく上手に出来上がっていた。本当に小池修一郎は凄い演出家だ。
が、なにしろ内容が、詐欺師やスリやゲームの達人が、ラスベガスの悪徳ホテル王をやっつけて、金庫のお金を奪うという話でたわいないものだから、思想がなくて深みがない。
観終わっても残らない、手渡してもらうものがないのだ・・・・。

 それをわかっているから小池も脇筋に涼紫央演じるラスティの恋人家族(英真なおき・万里柚美・音波みのり)
を出して話を膨らませ、曲芸まがいのマジシャンをだして、舞台に花をさかせている。構成のうまさは、さすがに小池だと思う。

 この舞台は、柚希・涼・夢乃聖夏・紅ゆずる・真風涼帆たちのダンスや歌の楽しさをファンが「素敵」と喜ぶだけのもので、頑張っている柚希には気の毒な気がした。

 単純なアメリカ映画を題材にするのはもう止めた方がいいと思わざるを得ない。

 前半は、
 主人公のダ二―・オーシャン(柚希礼音――好演)が牢屋に入っている間に、ホテル王ベネディクト(紅ゆずる――かなり進歩して頑張っているが、何しろ若すぎるから造形にむりがある)と妻テス(夢咲ねね)が婚約寸前にあることを知る。それを阻止するために、順次仲間を集めてホテルの金庫から金を盗む計画を練るまで・・・・。

 集められた仲間は10人、お金を出してくれる元ホテルオーナー(美城れん)とイカサマ師の涼と未沙のえる・夢乃聖夏・鶴美舞夕・壱城あずさ・美弥るりか・如月蓮・真風涼帆・天寿光希ら。

 この10人はそれぞれ個性的でおもしろい。特に今風の若者役を演じている若手が溌溂としていて楽しい。同様に後半で真風を中心にして踊る若者ダンス(?)は、どこぞの集団の歌手が踊るダンスよりずっと良くて、さすが宝塚だと思った!

 後半は、どうやってお金を手に入れるかというもので、上手く舞台が転換している。テンポもあっていい。

 衣装について一言。酒場のダンサーの衣装が下品だ。そして最後のロケットの衣装も品がない。
いつも感じることだが、踊り子の衣装は難しいものがある。一歩間違えるとどこまでも落とせるからだ。

 アメリカとかラスベガスとか、そういう品位の無い場を意識する必要はない。
舞台は虚であるから、宝塚の方針で品位を壊さず行くべきであろう・・・・・。

 最後に、後ろの席の観客がこんなことを言っていた。
〈初めて観た人がこの舞台をみて、これが宝塚だと思われては困るわ〉・・・・・・と、

 確かにその通り。

 「カサブランカ」や「誰がために鐘は鳴る」のようなアメリカ映画は、今は存在しない。
つまらぬエンターテーメントばかりだ。

 チケットはソルド・アウトであるらしい。

が、こうした作品ばかりをやれば、宝塚の存在意義はいずれなくなるだろう。
意識の低い大衆に媚びずに高遠な理想を掲げて創作舞台を生み出してほしいと思う。
大衆の意識を引き上げるのも芸術であるからだ。

 柚希にもたまには、アメリカ離れをさせてあげたい。

 植田景子と大空祐飛の宙組が作った「クラシコ・イタリアーノ」が、芸術祭の優秀賞を貰ったと昨日聞いた。 

 新年早々、幸先よくおめでたいことだ。

しかしその大空も退団するというから・…誠に残念だ・・・・・言葉もない。

新作重視でこれからも宝塚には歩んで行ってほしいと願う!



 ついでに、文化庁の芸術祭の優秀賞は、関東では、昨年10月にこのブログで取り上げた、清水邦夫「エレジー」で、父親役をやった平幹二郎が貰ったそうだ。マイナーな集団のいい舞台であったから、とても嬉しい!!!
興味のある方は再読されたい。

 わたくしがいい舞台だと褒めた作品が、
二つともに芸術祭賞を受賞したのは、本当に嬉しいことだと思っている!




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