井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 蒼井優・麻実れい・白石加代子の「サド侯爵夫人」(三島由紀夫作・野村萬斎演出)

<<   作成日時 : 2012/03/08 09:14   >>

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「サド侯爵夫人」観たまま・・・・・(世田谷パブリックシアター2012年3月7日)

 久しぶりで三島の「サド侯爵夫人」を観た。1997年にロンドンのハンマー・スミスにあるリバーサイドシアターでイギリス人が英語で上演した舞台を観たのが最後・・・・・・これはなかなか興味深い舞台だった!

 さて、今回、サド侯爵夫人ルネは蒼井優、その母モントルイユ夫人は白石加代子、サドと同様に放埓に自由気ままに過ごしているサン・フォン伯爵夫人は麻実れい、ルネの妹アンヌは美波、信心深いシミアーヌ男爵夫人は神野三鈴、モントルイユ家の家政婦は町田マリー。

 装置は壁をプロセニアムアーチのようにカーブさせて縫い目を際立させたつぎはぎだらけの模様、これに照明を当てると透き通ったり暗くなったりして、時間や恐怖などをあらわしていた。

 舞台に砂を敷きその中に下手に外から来る廊下(橋がかりの如く)とつながる丸い部屋、どうやらこれから始まるドラマが砂上の楼閣であることを意味しているようだ。

 センターに上から青銅のシャンデリア。青銅はサドという偶像を意味するつもりだろう・・・・・・。

 このシャンデリアが、幕開きには床にあり、家政婦が明かりを付けるかの如くかなり高く上にあげて開幕。

 二幕も同様であるが、一幕より少し下にさがり、三幕では床に、つまり地に落ちる。おそらく登場しないサド侯爵の存在を象徴していると推測される。

 装置でここまで解答を出されてはちょっと面白くない気がするが・・・・・あまり気がつく観客もいないだろうから問題はないか・・・・・とも思う!

 俳優たちのセリフの語り方が、それぞれ異なるから統一がとれない。これがどの舞台でも共通の難関。
演出はそれを稽古で一つの流れをつくるのが仕事だと思うのだが・・・・・・今回も失敗だ!

 それでもセリフを活舌よく綺麗に聞かせられるのは、白石加代子と麻実れいと少々おまけで神野三鈴だけで、蒼井は頑張っているようだが、やはり苦しい。セリフがきちんと語れなくては舞台俳優ではない。もう少し訓練するといい。

 美波と町田は長いセリフもたいしてないから欠点が見えなくて救われているが、僅かのセリフでも光らないから、長いセリフだと多分だめだろう・・・・

 衣装が一幕では仰々しく、二幕でサン・フォンとアンヌがその仰々しい部分を脱いで軽くなる。モントルイユとルネは全幕同じ。このあたりも疑問。真実が明らかになるという意味を込めたのなら、変えた方がいい。 

 ロンドンでみた舞台では、ロココ調の白い衣装を一幕で全員来ているが(サン・フォンは乗馬服)、真実が分かる二幕でその上のドレスの部分を脱ぎ、コルセットとペチコートの下着になった。これが斬新で、驚きであった!

 今回は、奇妙に和洋折衷の白石や信仰ぶかい夫人の人形を象徴するような服、サン・フォンやアンヌは何だかとても現代的で、調和がとれない。

 「サド侯爵夫人」の舞台は、いつも朗唱に気を取られていたせいか、三島がこの作品で何を言いたかったのかが、舞台ではハッキリ把握できないのが常であった。
 しかし今回の舞台は、たどたどしいルネや、明晰な発話をするモントルイユ、サン・フォンのセリフで、行きつ戻りつの三島の思想が浮かんだ。けがの功名か・・・・?

 舞台に登場しないタイトル・ロールが話題になった時もあるが、今ではそれはあまり重要な問題ではなくなった。登場人物のセリフで明らかになる、アルフォンス・サドという一人の男が、女たちを自由にしたこと、人権の侵害をしたこと、そうすることでしか自身が生きられなかったという愚劣さが浮上。同時に女たちの愚劣さも浮上。

 貞淑な女は存在しない。純粋などはありえない。完全な男女の愛はない。性愛は代替可能。
世を見、権力になびき行動するのは男だけではなく女も同様・・・・・などなどで・・・・・結局、美しい言説に飾られてはいるが、女性嫌悪が浮上するように思われた。

 演出がなんだか説明的で、最後にサドが訪ねて来てもルネが拒否するであろうことが前から分かってしまって、
最後が映えない・・・・

 三島の戯曲は合理的なのだが、どうにも面白くない。
やはりドラマとしての発見や急転が描かれていないからなのかもしれない

 



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