井上理恵の演劇時評

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zoom RSS TBSテレビ 有吉佐和子作 「悪女について」(沢尻エリカ・船越英一郎・渡辺大ら出演)

<<   作成日時 : 2012/05/01 09:42   >>

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ドラマ特別企画「悪女について」を観た(2012年4月30日夜)

 有吉佐和子がこの小説を書いたのは1978年。
変わった小説でその構成が面白かった。たしか劇団四季の影万里江がテレビで同じ頃、
連続ドラマで演じたのを観た記憶がある。

 この小説に興味を持ったのは、推理小説のような枠組みで一人ずつ、異なった富小路公子像を語っている所にあった。

 人は、出会う人間にそれぞれ異なった印象を与えているのだが、それを極端に拡大して、彼女の一生を他者に語らせながら上手く構成しているところに驚いたのだ。

 公子の行動を〈悪女〉とは誰も思わないが、結果的にすべての話を繋げ合わせると〈悪女〉になる。〈悪女〉とは、他者が作り出す。
 
 男性の場合は〈悪男〉とは決して言わない。女たちが【悪い男たち】をそう呼ばないからだ。
男中心社会だからこそ、男たちに都合の悪い女は、〈魔女〉〈悪女〉になり、都合のいい女は〈聖女〉になる。

 さて、テレビは、公子(沢尻エリカ)の二人の子供の父親探しのような展開で終わった。二時間半で表現するには、テレビで流行りのサスペンスタッチがいいと思ったのだろう。

 有吉の意図とは、かなり離れた凡作におわっていた。

 時代も現代に近寄らせて、小説は敗戦後から高度成長期へという背景であったが、バブル経済のはじける前まで・・・。

 テレビ得意のアップ続き画面で、演技はあまり要らない綺麗な顔の公子に扮するエリカのアップ画面と、なかなか味のある表現をしている船越英一郎と余貴美子のカメラを引いた画面とが対照的でおもしろかった。

 やはりカメラは引いた方がいい。

 画面に幅ができて、俳優の演技が伝わり、物語が深まる。

 首上画面を減らし、せめて半身を写す方向に変えなければ、形成外科で直した顔ばかりが映し出され、
いつになっても雰囲気だけは〈芝居〉で、能面のような俳優ばかり登場する「作品」のオンパレードになる。

 それではもう、映像芸術はダメになる。

 もっとも電気代以外無料のテレビ・ドラマと称するものは、ただ流れているもので〈芸術〉を作るつもりはないのかもしれないが・・・・・それを観る若い存在に、〈芸術〉を享受する能力が育たない。これが怖い!

 有吉は、おそらくこの小説で一人の人間のさまざまな面を、他者が語るという形式で小説構造の新しさを狙い、同時に人間とは何か、〈悪女〉とはなにか、という・・・そんな問いを書いたのだと思われる。

 それは子供の父親は誰か・・・・、などという短絡したサスペンス劇でもなければ、悪女の振る舞いを特筆したのでもなかったはずだ。


 実はこの小説について、少し先なのだが、短い文章を書くことになっている。
それでテレビをみたのだが・・・・・。

新しい視点は出ていなかった。残念・・・・・テレビに期待してはいけないのだろう・・・

 

 



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