井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 音楽朗読劇 大空祐飛・大野いと「冷蔵庫のうえの人生」+レ・フレール(謝珠栄演出)・・・後日の付録あり

<<   作成日時 : 2016/06/10 10:19   >>

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大空祐飛が謝珠栄と組んだ音楽朗読劇「冷蔵庫のうえの人生」を観た(草月ホール2016年6月9日マチネ)

 イギリス人医師の洒落て哀しい、しかし稀有で素敵な娘との関係を、瀟洒なホールで大空祐飛がセリフと歌だけで見事に表現!

  大空は、いい俳優になった・・・・


 朗読劇というが、巷間でやられているそれではない。
音楽劇とあるようにレ・フレールの、時に激しく・時に哀しいピアノの旋律と
大空の綺麗な声で、時に楽しくそして哀しい歌を交え、本格的なドラマになっていた。

少し歌う大野は、上手くはない。
が、普通の高校生の〈実際〉のようで、今回はドラマを壊していない。
 

原作小説 "Life - on - refrigerator door" はイギリス生まれのアリス・カイパース(Arice Kuipers,1979年生の詩人・小説家。現在カナダ在住らしい)で、日本ではほとんど知られていない。
文芸春秋社で2007年に八木明子訳で初版。

  今回の上演台本は山谷典子が担当。(原作・台本未見)


「限られた言葉のやり取りで、二人の人間の関係を描くことができないか、というのがこの小説の出発点です。
冷蔵庫に残されたメモの数々に、母親と娘のさまざまな感情を読み取ってもらえればと思います。」

 と、カイパースは、日本の読者に声を寄せたようだ。

 一年間の二人のメモの小説であるから、芝居になりやすい。
互いへの愛や母の心配、二人の争い、離婚した両親の間を行き来する娘・・・・
等々の人間の関係は確実に描かれていた。

 日本の母と娘の関係とは少し異なる、互いの存在を認め合う個人が、ここにはいたように思われる。
    それが素敵な関係と記した所以だ。

小説からどの程度の取捨選択がなされたのかはわからない。

が、舞台を見る限り、産科医の母親が元気で働いて娘と二人、協力しながら生活していた日常から
乳がんがわかり治療を始め、転移して、親類の援助や娘の助けの中で病気と闘い、
そして死んでいくまで・・・・が確実に描出されていた。

 母と娘が住んでいた庭付きの家に、母の死後、娘が一人で訪れてドラマが始まり、
    死ぬ前の過去に戻って二人の対話が始まる。
 そして最後にまた初めに戻る。

 驚いたのは、冷蔵庫が真ん中にあるだけ、紗幕と明かりで置き道具はパイプのテーブルとイス、
装置らしいものはないのだが、

大空のセリフだけで病院勤めの忙しい産科医が元気な状態から病気になり死に至り、
しかも舞台が部屋になり、病院へ飛び、キッチンになったことだ。
大仰な表現は何もなかったにもかかわらず・・・・

娘大野いとの素直で普通の高校生の表現は、もっと動きが入る舞台では無理であったろうが、
今回は朗読故に、ミスマッチせず劇空間を壊さずに済んだ。

 謝の奇を衒わない抑制された演出もよかった。

近年、大げさなミュージカルばかりが評判で、静かな舞台は敬遠されているようだ。
大きな舞台もそれなりに利点はある。
が、いわゆる中劇場と言える300人を超えない劇場で、
俳優の演技(セリフや動作)に注目することのできる舞台も
忘れないようにしなければならないだろう。(ただし舞台も客席も狭すぎてもダメなのだ)

 そうしないと日本の現代演劇は、いつか必ず滅びる。

素人まがいの俳優の大仰な舞台機構に助けられた舞台ばかりが残ってしまう・・・・。

 舞台は、俳優のセリフと動きで表現できなければ、演劇ではないからだ   ・・・・と考えている・・・・・

  多くの芝居好きに是非観て欲しい舞台だ、そして自身の他者との関係に思いをはせて欲しい。

   以下が、公演案内サイト

www.life-on-refrigerator.com/

  2016年11月22日付記

 演劇雑誌『テアトロ』2016年9月号を見ていたら、「7月の関西」欄で、この芝居の劇評が出ていた。

筆者は関西の劇評家九鬼葉子。本が見つからないだろうから、以下、に部分的に引く。長い批評だ。

 「大野いとは、弾けるような明るさと若さを表現。健康的に演じれば演じるほど、行く末を見届けたかったであろう母の無念が際立つ。さらに母親役の大空祐飛が眩しそうに見詰め、娘が母にとって生きる意味につながった情愛が染み透る。大空は、聡明で時に厳しい母親像を品よく演じつつ、不安や絶望、そしてそれを乗り越える強い意志を獲得する過程など、女性としての多彩な内面を、演技と歌で表現した。
 (略)
 客席には、中高年の男女が目立った。関西では、中高年層の観劇習慣が根付いているとは言いにくい。演歌歌手の商業演劇で、非日常的な喜びを得るのもいいのだが、今回のような身近な家族関係や、さりげない日常の大切さを謳った現代劇を自然に観劇し、内省する習慣が根付くことを期待したい。」



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