井上理恵の演劇時評

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zoom RSS ドキュメンタリー映画 「イングリッド・バーグマン」(BUNKAURA ル・シネマ2)

<<   作成日時 : 2016/09/07 08:53   >>

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ドキュメンタリー映画「イングリッド・バーグマン」を観る(2016年9月6日)

 このスエーデンで制作されたドキュメンタリーは、娘のイザベラ・ロッセリーニが
材料(日記・手紙・写真・家族の8ミリや16ミリ?・・・等々)を提供して出来たものらしい。

 監督 スティーブ・ビョークマン(脚本にも参加)   製作 スティーナ・ガーテル

 バーグマンの映画は、日本公開時ではなくて後追いであったが、何本か観ている。

一番印象的だったのは、有名作品ではなく
ラシーヌの「フェードル」を下敷きにしたと思われる「さよならをもう一度」で、
年下のアンソニー・パーキンス扮する若者と恋に落ちたバーグマンが、
迷いながらもパーキンスを選ばずに、何度も浮気をされてきた腐れ縁のどうしようもない男
――イブ・モンタンがそれを何とも言えず表現していた――を選択するところで、
たしか階段の上から下に居るパーキンスに " I'm old" と叫んだ場面だった・・・・・!

 どうしてあんなつまらない裏切られているばかりの男を選ぶのだろう、
 私なら絶対パーキンスだ!!!   と感じたのである・・・・

 その「さよならをもう一度」が画面に出てきて、懐かしかった。

 が、現実のバーグマンは、自らの〈愛〉を大事にして生きた女性だった。

 それがこのドキュメンタリーに表現されていた。

 材料が私的なものであるから、当然に子供への想いが強調されている。

 映画や芝居に対する彼女の発言は、ほんのわずかであまり出てこない。

知らなかったのだが、スキャンダラスな恋愛(特にロッセリーニ監督との)で
聖女から悪女に評価が変わったバーグマンの評判を否定するのに時間が掛かったらしい。

 現在は伝説的な素晴らしい女優ということに落ち着いているが、

このドキュメンタリーは子供想いの母親であったバーグマン、という側面を強調している。
娘がかかわっているからで、それを意図した作品であると推察される。

 しかしバーグマンがロバート・キャパと恋愛をしていたとは・・・・・・・驚いた!
これは彼女の自叙伝で既に発表されていたらしいが、知らなかった。

 キャパは素敵な男性で写真家であったようだから、出合えばそうなるだろうと想像はつく。

バーグマンも写真好きであったし、記録が何よりも趣味であったから・・・・・
それが今、膨大な資料となって残っている。

 ロバート・キャパは、宝塚で舞台になっている。宝塚ファンの友人によれば2作品ある。
@小池修一郎作・演出・作詞、フランク・ワイルドホーン作曲、 
  宙組作品[Never Say Good-By](2006) 和央ようか・花總まり主演

A原田諒作・演出 宙組作品「ロバート・キャパ 魂の記録」(2012) 凰稀かなめ・怜美うらら主演
  原田はこの作品と「華やかなりし日々」(大空祐飛・野々すみ花主演)の作・演出で賞を得ている。

  友人は、「ネバー・セイ・グッバイ」の和央の役は、キャパがモデルだと言う。
   スペイン内戦時が舞台になっているからそうかもしれない。
   女優と女性ジャーナリストが出て来る。この女優が、バーグマン・・・・???
   たしかに小池がこれを書いた時には、バーグマンの自伝は上梓されていたから、可能性はある。
   が、その割にはこの作品に登場する女優は、バーグマンとは程遠い・・・・

  個人的興味だが、
  もう少し映画や舞台に関するバーグマンの「声」が聴きたかった。その辺りが手薄だ。
 そのために余計にこの作の目的が、
 バーグマンは良き母であったということ、それを残したいという思いが前景化する。
   これは、バーグマンの家父長制社会で生きるためのお土産なのかもしれない。
        

        


 「愛」に生きるのは、経済的裏付けがなくてはできない。このドキュメンタリーはそれを証していた。

バーグマンは自身でも働いて経済力があったし、恋をして結婚をした相手も、経済力があった。
 
 初めのリンドストローム(歯科医・医師)も、二人目のロッセリーニも、
 三人目の夫となった演劇製作者ラルス・シュミットも、皆経済力があった。

 資本主義社会では、恋も愛も結婚も、全てが経済力との互角の勝負なのである。

 いまさらながらではあるが・・・・それを思い出させてくれたドキュメンタリーであった・・・・・

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