井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 宝塚星組 北翔海莉主演「桜花に舞え」(斎藤吉正作・演出)、「ロマンス」(岡田敬二作・演出)

<<   作成日時 : 2016/10/29 11:56   >>

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北翔海莉と妃海風の卒業公演「桜花に舞え」「ロマンス」を観た(2016年10月25日ソワレ)

北翔の宝塚最後の舞台に合わせたSAMURAI the FINAL の副題がある明治維新物で、よくできた舞台であった!

 始まりの薩摩兵児の勢ぞろいなどは、宙組の「トラファルガー」を思い出した。確かあれも斎藤吉正の演出だった。
勇ましく、美しく、素敵な勢ぞろいであった・・・・・・北翔は最後の舞台を、勇ましく、哀しく、美しく飾った!

 会津と官軍薩摩の戦いで、偶然に出会った会津の娘吹優(妃海風)、会津藩士八木(礼真琴)などの登場が、
後の中村半次郎―桐野利秋(北翔海莉)との淡い恋や西南戦争での戦いにつながるなど、うまく話をまとめたと思う。

 実際西郷(美城れん)の西南戦争は、複雑な意味合いを持つ明治最後の戦で、これによって近代が始まったともいわれているが、薩摩に出向いた官軍には、会津の元藩士が多かったといわれているからだ。

 同郷で仲良く育った者たちが、国家に対する思想の異なりで、敵対せざるを得ない状況も不自然ではなく上手に作っていた。

 半次郎と大の仲良しの衣波(紅ゆずる)がポリスになって敵対し、
彼の幼馴染ヒサ(綺咲愛里)が半次郎と結婚することになるという不条理・・・

 留学した川路(七海ひろき)や大久保(夏美よう)、大山巌(十碧れいや)
・・・実は大山の再婚相手捨松は赤十字を作ったし、先妻の娘は、「不如帰」のモデル浪子だ……
薩摩藩士たち同士の戦わざるを得なかった複雑な思い等々・・・・・泣かせるつぼも心得てよく構成されていた。

   わたくしたちの生きるこの時代は、多くの命と涙の累積から成り立っていることを、改めて知らせてくれる。
その犠牲に対し、わたくしたちは同じような戦い――戦争・殺戮――の起こらない世の中にしなければならない。

   そんなことを舞台を観ながら思った・・・・・時期的にもいい作品の選択であったと思う。

  そして北翔を囲む、紅以下七海や礼はじめ星組のスターたちは、まことによくやっていたし、
  専科の夏美よう、美城れんが舞台に重みを作っていて見事であった。

 岡田敬二の作った「ロマンス」

  なんとも美しく、そして上品なレビューであった!

  オープニングの妃海と周りを囲む娘たちのかわいらしさ、品のよさ、久しぶりの場面だ。
 各場面はそれぞれ見どころがあってよかった。
物語風の北翔と妃海の場面も穏やかで哀愁を帯びていいし、
続くチョットきざな場面ではスター一人一人が生き生きしていてよかった。客席も大喜びだった。

   一番印象に残ったのは、扉の場面だった。装置がいいし、振り付けもうたもいい・・・・
 スターたちは、踊り歌い…大丈夫かと思うくらいの活躍ぶり・・・見事だ・・・・・素晴らしいの一言…!

  そして過去と現在と未来が込められているようで星組男役の素晴らしさを観客に堪能させていた。

  続くロケットは、人数も多く晴れやかで、そこから流れた燕尾の場面が実に好い・・・・・

   この三つのつながりが緩急自在でよくできていた。

       スターたちが北翔への想いと愛を感じさせる舞台だった。

   観客席は、泣いたり、笑ったり・・・・・いそがしい・・・・ロビーの感想も好評だ・・・・・

  卒業する北翔海莉・妃海風・美城れん・美都くらら・・・・に栄光あれ

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