井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 燐光群 坂手洋二作・演出、竹下景子・馬渕英里何主演「天使も嘘をつく」(座 高円寺)

<<   作成日時 : 2016/11/22 13:36   >>

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坂手洋二の新作「天使も嘘をつく」を観た(2016年11月21日)

坂手洋二の新作は、〈沖縄VS国家権力〉の「報告劇」と言っていい舞台であった!

本来、これは〈日本国の人民VS国家権力〉という問題のはずだが、
〈沖縄〉は、あるいは〈権力に反対する人民〉は、〈日本国の人民〉ではないかの如く、虐げられる。

 その現実が描出されている。  が・・・・である。
   とにかく坂手の気持ちはよくわかるが、〈劇〉になってない。前半は〈報告〉に終始して、ねむい〜〜

    ☆      ☆      ☆

  本日(11月22日)の東京新聞朝刊「こちら特報部」でまさにこの沖縄問題が語られていた。

 「本音のコラム」で、鎌田慧は告げる。
@米軍が沖縄の北部訓練場(一部返還)4000ヘクタールを返す。これを権力が大々的に宣伝しそうなこと。
  ここは使用価値のないところ・・・・・

A南側の高江地区では、建設が予定されている辺野古米軍新基地付属オスプレイパッド(着陸帯)の工事の強行。

 坂手の舞台でも語られていたが、この南側の湿潤の森は、国の特別天然記念物ノグチゲラ、ヤンバルクイナなどの貴重な絶滅危惧種の宝庫なのである。

 ところが惜しげもなく樹木がきりたおされ、大量の砂利が運び込まれている。
常駐する機動隊員は500人もいるそうで、県道を封鎖し市民の通行を遮断、長期拘留し、起訴したという。鎌田は「まるで戒厳令下だ」と書いた。

 「話題の発掘」欄では、「辺野古・高江リポート」としてヘリパッド建設のために、沖縄防衛局は、海兵隊の訓練で使用する訓練道を建設目的に、民間へりで資材の空輸を行う。

資機材の搬入に抗議する市民たち。山を守るために海の漁師たちも立ち上がってた。

 「海は父。山は母。山が破壊されれば赤土が海へ流れ、どちらも死ぬ」「海と山守る」抗議が続いている。

これはほとんど報道されない。トランプの報道や韓国の報道以前に、日本国内で何が起こっているのかを
  新聞やテレビは、報道しなければいけないだろうに・・・・・権力の弾圧に関してはほとんど知らせない。

  ☆    ☆    ☆

 坂手は、沖縄に行ってこの現実を知り、「天使も嘘をつく」を書いた。まことにその気持ちはよくわかる。

しかし、である。観客に手渡すには、ドラマとして、客に関心を持たせ、眠らせず、わからせなければならない。

 そんなことは、わかっているのは、知っているが・・・・・どうにも疲れる舞台だった。


 前の席の人は、前半はほとんど寝ていた。隣の人ももぞもぞして、そのうち耐えられなくなり、席を立った。

 よく分かっているつもりのわたくしも、眠かった。これは検討しなければならないだろう。


 演じている俳優のためにも、手を入れる必要があるのではないか…と思った。

    せっかくの題材をうまく使わなくては、もったいない・・・・・


  離婚係争中の二人と娘の関係やドキュメンタリーを作ろうという監督と村人たち、反対運動に関わろうとしている人たち、昔映画に出ていた女優が飛んで、死んだ話・・・・・などなど。

   材料は沢山出されるが、どうにもうまくない。 

 とにかく事実報告が前面に出すぎて、せっかくのシュチエ―ションも生きてこない、意味が伝わらないのだ。


 事実報告にしたければ、昔、そうした芝居を作った劇作家のように、時間も短く観客が辟易せずに済むようにしなければだめだ。

    「青年教育」という面白いものがあったのを思い出す。

  報告だけでおわりたくないのも、わかるから・・・・・どうにかしてと思った次第だ!!!

  

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