井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 宝塚宙組朝夏まなと・真風涼帆・怜美うらら・澄輝さやと「バレンシアの熱い花」(柴田侑宏作・中村暁演出)

<<   作成日時 : 2016/11/27 12:51   >>

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宙組の全国ツアー「バレンシアの熱い花」を観た(2016年11月26日神奈川県民ホール)

 舞台の奥行き全てを使った舞台、2490人もの観客を収容できる広いホールで、40年前の作品が上演された。

  立見席まで出ていた舞台は、朝夏まなとはじめ組子の熱意と客席の熱気で熱い客席だった!!!

二組に分かれていたために、通常の舞台では役の来ない生徒たちも役があって頑張っていたし、

大劇場とは異なる新鮮な組み合わせで新しい風が、舞台に確実に吹いているのを感じた。

 話はかなり古い。やはり40年の歳月は時代色を感じざるを得ない。

 父を現領主ルカノール公爵(寿つかさ・・・久しぶりの悪役がいい)に殺された元領主の息子フェルナンド(朝夏まなと…貴族と放蕩の場を使い分けていい)が、父の復讐をする主筋。この筋が単純だから〈古さ〉を感じるのだ。

そのために力を貸してくれる元将軍レオン(松風輝・・・・ロマンスグレーを好演)と心配する母の侯爵夫人(純矢ちとせ・・・すっかり高貴な夫人になった)。レオン将軍に私淑して情報収集で役に立つドンファン(瑠風輝)。

 悪政を続ける現領主に政権奪回や復讐をきづかれないためにレオンに市井で遊べと助言されたフェルナンド。
そこで踊り子グループのイサベラ(怜美うらら・・・のびのびと演じていてこの先が楽しみ)と彼女を愛しているラモン(真風涼帆・・・今回も三枚目的な役で笑いを誘っている、いつか悲劇が見たい。)に出会い・・・・互いに異文化を感じるからフェルナンドとイサベラは恋に落ちる。

 フェルナンドとイサベラの恋・・・・イサベラを愛するラモン・・・という関係に対して

フェルナンドには昔からの許嫁がいた。レオン将軍の孫娘マルガリータ(星風まどか・・・かわいく演じていた)。

 フェルナンドの友人ロドリーゴ(澄輝さやと…この人がこんなに貴族が似合うとは…)には、恋人シルヴィア(遥羽らら…上品で悲劇の女性を演じている)がいたが、ロドリーゴが軍隊で留守にしている間に、父親の無実の罪を解く代わりにロドリーゴの伯父現領主ルカノールに結婚を強いられ、妻になっていた。
二人は今でも愛し合っていた。彼女は結婚したことを恥じている。

 ラモンは、妹(華妃まいあ)を領主の軍隊に殺された。

 現領主側の悪役に、蒼羽りく・星吹彩翔が演じていて、これも新鮮だった。

 三人の領主への復讐の理由はそれぞれ異なるが、一致して友情の団結が生まれて〈黒い騎士…天使?〉三人が誕生する。

 のどかな漫画の世界の復讐譚になる。この辺りが古いし、愛の表現も、実は古い。

 復讐が成功すると、城への地下道のカギを開ける約束をしたシルヴィアは、わが身を恥じて自殺・・・・これも古い発想だ。キリスト教の世界に住むヨーロッパ人は、生き延びることに意義を感じているから、こういう行為は日本的(・・・しかし実は皆、何度でも婚姻関係を結んでいるから、実はある階級の日本の近代以降の発想だ・・・・)

 フェルナンドは、復讐が成功すれば侯爵の跡継ぎになる。住む世界が違うと身を引くイサベラとの別れ・・・・
 これも現代には、不向き。身分違いの恋は、世界の王室にもすでにないから・・・・

 しかし、フェルナンドとイサベラの楽しそうな場面と別れの場面は、新しい二人のカップルの熱い思いや悲しみが伝わってきて、観客の心を打っていた・・・・

 朝夏も怜美も、悲劇のよく似合うスターたちだから、次に見るときは新作悲劇で舞台を観たいとおもった。
真風にも、たまには悲劇をやらせてみたい・・・・

 ホットアイズ Hot Eyes(藤井大介作)!! 

ショーも役がそれぞれ変わって、ずいぶんと趣が変わり、新鮮であった。
 階段が少なくなって全体がよく見えてよかった

   各地で歓迎されるよう祈っている 

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