井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 劇団民劇「SOETSU」(長田郁恵作、丹野郁弓演出、三越劇場)

<<   作成日時 : 2016/12/12 18:12   >>

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長田郁恵作「SOETSU 韓くにの白き太陽」を観た(2016年12月7日三越劇場)。

 このところ連日の劇場通いで、かなり疲労しているせいか、初めて見た長田郁恵の作品だが、物足りない。

  狭い三越劇場の舞台でたくさんの人が一堂に会する場は、やはり苦しい・・・・。
  しかも13場ある。テレビではないのだから・・・・

   作家は井上ひさしに指導されたようだが、井上ひさしの弱点を受け継いでしまったのだろうか・・・・

  筋を追う状況描写が多く、かといって上手にできた芝居にもなりきれず、戯曲には少々残念な思いがした。

  俳優たちは、
  柳宗悦(篠田三郎)とオペラ歌手兼子(中地美佐子)夫妻は、的確に演じていたし、
  「朝鮮人」の姜明珠を演じた日色ともゑも心の機微を表現していたし、
  斎藤尊史や神敏将はじめ民芸の俳優たちは、皆いい芝居をしていた。
  
  民芸の俳優はどんな戯曲でも表現可能な存在であるのだから、
    もう少し受け取るものが書き込まれていたら・・・・ と思わずにはいられない。

  しかし柳が朝鮮の普通の人々が使っている民芸品という器に惹かれ、
     それを陳列することが、日本の半島支配に利用される結果を、
   否が応でも生むということについての作家の目がない。

  戦争・日本統治・朝鮮半島・日本語教育・民芸品・反対運動・・・・・などなど、
     考えるべき問題は沢山あるのに、出来事ばかりに目が行き、
         最後は人情話で終わってしまって、がっかりした。

     若い劇作家のようだから、新しい視点やら新しい方法やら、どうにかできないものかと、思う。

     前回の中津留章仁の「箆棒」も、久板の焼き直しかとおもうようなホームドラマだったし、
      このところ民芸はせっかくの新作が不発で、残念だ。
 

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