井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 宝塚星組 七海ひろき主演「燃ゆる風 軍師・竹中半兵衛」(鈴木圭作・演出 宝塚バウホール)

<<   作成日時 : 2017/01/17 22:28   >>

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七海ひろきの主演作「燃ゆる風 軍師竹中半兵衛」を観た(2017年1月16日)!

 鈴木圭の新作、七海の主演作は大成功だった 舞台も会場も熱気にあふれてビックリした。
しかも、後で知ったが、この日は七海の誕生日だったそうで、
カーテンコールで大ブレーク、七海は驚きと喜びで感涙・・・・・ 出演者もファンも、何とも暖かい場だった。

 さて作品だ。
これはバックが安土桃山時代故に、歴史上の不明な点が多いから、自由に創作できるという利点がある。

そこで鈴木は、軍師竹中半兵衛(七海ひろき)に
美形の半兵衛・心優しい半兵衛・人の命を大切にする半兵衛という視点を導入。これを主軸に据えた。

もちろん戦における策の立て方や調略(今でいうインテリジェンス)などに長けているのは前提で・・・・・・・

そこに、「生きているから今がある。生きているから未来がある。〜〜〜」の主題歌をあてて、単なる戦略に長けている男ではなくて「命」を重視する理想的な側面を前面に出す…・。

 七海のソフトで理性的な個性がこの役でよく映えた。十分期待に応えている。

 現在の世界が、きな臭く、命を粗末にする状況があるから、実に時宜にかなう主張で、

 民百姓が平和な日々を送れる時を待ち望むという一本の線が生きた。

 織田信長(麻央侑希)は、ここでは一直線に天下の統一を目論むわがままで非常な男という設定をとり、麻央は、よく頑張って演じていた。

 妻の濃姫…斎藤道三の娘で鷺山殿(音波みのり)との間に誕生した女児を養女に出す。それがいね(真彩希帆)で半兵衛の妻になった。

 これはもちろん虚だ。しかしこの設定もうまくはまっている。音波は品よくそして強く濃姫を演じていた。星組には貴重な娘役だ。

 中世から近世の時期は、戦中心で特に女性にはつらい時代であったと推測される。そういう中で自分を持って生きた女性として、濃姫が存在した、と設定するのは重要で、そういう女性に見えた。

 秀吉(悠真倫)ねね(万里柚美)の夫婦は、哀しい話の中で唯一お気楽〜〜〜秀吉が粗忽すぎる気もするが、そうであるからこそ主役が映えるのかもしれない。

黒田官兵衛(天寿光希・・・・知的でいい、好演)と 妻光(紫月音寧)の間の一粒種松寿(天彩峰里・・・・きれいな声で歌う歌が哀愁を帯びていてとてもよかった)の一家。

 半兵衛の幼馴染の家来三郎太(天華えま・・・・勇ましく活発でいい)とのエピソードも楽しい。

 少ない人数で戦国物を舞台に上げるのはさぞ大変であったと推測する。
多人数がいるように思われたから成功したといっていい。

  ずいぶんと熱い思いのする舞台であった。

それにしても、いい男は早死にするのだなああああ、 と話にのめり込むと思ってしまう・・・・だろう 
 
  
 戦時を舞台に上げるのは、難しい・・・単なる家庭悲劇に終えてしまったら…つまらないメロドラマになるからだ。

今回はそんな中で、生きる意味を問う、という重要なテーマをわたくしたち投げかけていたのが、よかった!

  メロドラマに堕落せず、観客に媚びず、何かを手渡す、…・誠に難しいものである。
  

 

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