井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 二兎社 永井愛新作「ザ・空気」(田中哲司・若村麻由美・木場勝己・江口のりこ・大窪人衛 出演)

<<   作成日時 : 2017/01/25 21:06   >>

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永井愛の新作・演出「ザ・空気」を観た(2017年1月25日 マチネ 東京芸術劇場シアターイースト)

 永井愛は、またヒット作を生み出した。演技人にも大きい拍手をあげよう・・・・
素晴らしい舞台であった・・・・日本中の人に是非見て貰いたい 


 永井愛という劇作家と同時代に生きて、その舞台を観続けることができることを、誠に誇らしく思った!




 昨今の世界の状況は、予想もつかないほど右旋回している。アメリカも凄いけれど、日本も凄い!

一体どうしてこうなったのか・・・・・。
もしかするとこの現象の口火をきったのは、わたくしたちの国かも・・・?

 などと改めて現代史を見返したりしている昨今に、

なんと・・・・テレビ局の夜のニュース番組を制作する人たちを舞台に上げた。

 
 自己規制・萎縮・長いものに巻かれろ・生き残るために・・・・中立こそが一番恐ろしい・・・・

そういえば、昔、何十年も前に、物理学者の武谷三男先生が言っていた。

「中立・中道は、……右でも左でもない真ん中というのは…、社会が右に傾くと右に行き、左に傾くと左に行く。それが中立・中道なのだ」
こんなに危ない思想はない・・・・・・

 永井愛は、登場人物にそれを言わせていた・・・!


 私たちの国のジャーナリズムは、近代社会の始まりから権力者の手の上にあった!

なんということであろうか・・・・・民主主義社会ではなくて、社会主義・・・・? 統制されていたのか・・???

すべての番組の責任は、トップにある。・・・・・政権が握っている。…・・首相が握っている・・・・・??!!!!

この国は、主権在民ではなかったの・・・・? さまざまな疑問が浮かんでくるではないか・・・

GHQが報道の自由を奪っていた・・????? アメリカ軍は解放軍じゃなかったの・・・・?


 あああ、やっぱり。これも武谷先生が言っていた。「絶対的な解放軍というのは、ありません」


  舞台では、前のアンカー桜井さんが自殺していた・・・・・悩んだ末に・・・・自死をえらぶ・・・
 
 良心的な担当者は、嫌がらせや圧力で、精神が不安定になり、自死を選ぶ・・・・・

 21世紀になって、19世紀への後戻りか・・・・???


 番組編集長の今森(田中哲司・・
 ・・・ずいぶん昔に観た時より、すっかり落ち着いて、大声で大騒ぎしなくなって、よく彼の苦悩を表現)

 キャスターの来宮(若村麻由美・・・・美人で聡明なキャスターにはまっている)

 アンカー大雲要人(木場勝己・・・・・役名の付け方が小憎いほど合っていて、怪しくむかつく存在をぴったり演じてる)

 ディレクター丹下(江口のりこ・・・・無関心のようで、悩む良心的なディレクターを表現。それで太れない…)

 まさにヒットは、編集マンの花田(大窪人衛・・・・・この役は、まさにこの人しかいない・・・・・それがいいのか悪いのか・・・・・・あのイキウメ・・・・君が・・・・と思って・・・)、どっちつかずで、都合のいい方に傾く存在…(いるいる、周りに沢山…特に近年の若者現象・・・)


 永井愛は、キャスティングが巧い。これはいつも思うことだ。

 そしてこのご時世に、よくぞ作ってくれました・・・・という以外ない、恐ろしい舞台・・・・!

 わたくしたちが生きている社会が、ごく一部の人たちの誘導で、どこへ行こうとしているのか、

この国の人々は、よく考えないと…・こわいよ〜〜〜と叫んでいる。 


 組織で生きなくても、組織で生きても、本来は一人の個人なのだから、
個人で、みんなが一人一人でできることをして、自由を求めて、平和を求めて、生きたい…

そう思うことはいけないことなのだろうか・・・・・まさか、そんな・・・あろうはずがない。

 そんなことを考えてしまう。


 いやいや、考えることをしない人たちには、多分それは分からないかもしれない・・・・


 テレビばっかり見たり、スマホばっかりに夢中になったり、偽りを故意にネットに流したり・・・・

そういうことをしている人たちに、テレビやスマホを捨てて、家を出て劇場へ行きましょう・・・・

 「ザ・空気」を観ましょう・・・・ そして何かを手わたしてもらいましょう・・・・・

 せっかくもっている頭なんだから、自分で考えてみましょう・・・・・そう言ってみたい・・・・

プログラムで永井愛と対談していたファクラーの本・・・・二冊と新刊一冊

わたくしも読んでみようと思う・・・・。


☆ マーディン・ファクラー著 ☆

『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(双葉新書2012)
                
 『安倍政権にひれ伏す日本のメディア』(双葉新書)
                
 『世界が認めた「普通でない国」日本』(祥伝社新書2016)

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