井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 海外戯曲リーディング「セブン・メニュー」(D・アイヴス作、常田景子訳、宮崎真子演出。せんがわ劇場)

<<   作成日時 : 2017/02/19 12:16   >>

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せんがわ劇場で上演している海外戯曲リーディングの一つ「セブン・メニュー」を観た(2017年2月18日)

35分の一幕物戯曲リーディングは、いかにもアメリカの、それも大都会ニューヨークのスケッチ劇であった。


 実は、生真面目なリーディング上演に何年も付き合ったことがある。上演後のレクチャーでだが・・・・

 基本的に、〈芝居はセリフと動きがあって成り立つ〉と考えている。
リーディングは流行しているが、お手軽すぎて好きではないし、、邪道だと思っているから、誘われてもほとんど行かない。今回は例外で舞台を観る。


「セブン・メニュー」の舞台は、設定が「レストランのボックス席」であるが故に功を奏して面白かった。(台本未見)

 演出の宮崎はプレイビルに次のように書いた。

〈第4場だけに登場する「フラッフ」が劇作家のデヴィッド・アイヴズ氏であるという構造は、戯曲にはない私の演出によるもので、本来の戯曲の良さは、「フラッフ」は謎の登場人物であり、一場面にのみ登場し、なぜか他の登場人物とつながりがあり、セブン・メニューというレストランの名前の意味も知っているが、何者なのかはついに分からない。〉

 短い作品が7場に分かれているから、〈セブン・メニュー〉なのか、レストランだから〈セブン・メニュー〉としたのか、7つしか注文できる料理がないから〈セブン・メニュー〉なのか、

ニューヨーカーの一週間を〈セブン・メニュー〉で表現したのか、あるいは登場人物の7年間を〈セブン・メニュー〉と評したのか・・・・・謎である。
  たぶん、一場が一年・・・・と推測した・・・・台本の指定があるなら別だが…

 この謎は、観客の好みで解釈すればいいのだろう・・・・・ということで、舞台だ・・・・


 まず、開幕照明がとてもいい!! 全体に照明の使い方が効果的であった。

 舞台に椅子が4客(ボックス席も大体4人だから・・・ちょどいい)。

   センター両側に女性、両端に男性が座る。

下手に劇作家と思しき男がPC机の前に座り、ト書きを発する。
・・・・・この人、のちにフラッフ(伊藤 総)になる。

 リーディング用の台本と思しきものが楽譜台にあるが、それはメニューでもあり、俳優たちはそれぞれセリフを暗記していて読まない・・・・・これも良かった。

 俳優たちの化粧が独特で、これもリアリズムから抜け出ていていい・・・・いわゆる道化っぽくしている。

(パりで見た舞台にもこういう化粧のが多々あった・・・あちらは日本の歌舞伎の真似だが・・・)

 現実社会の反映だけれども、写実ではないということの表象だろう。


 一場(メニュー1)
 ポール(泉 拓真)とヘイゼル(石塚理恵)の夫婦が上手側に
 ルース(橘 麦)とジャック(吉野容臣)の婚約者(?)が下手側に。ここではルースが一番若い。

 二場(メニュー2)
 ジャックが消えて、バリー(山森信太郎)が座る。年長で裕福そうな装い・・・・

 三場(メニュー3)
 ヘイゼルが消えて、一番若いドーン(山村茉莉乃)が後釜に座る…

 四場(メニュー4)
 ルースが消えて、そこにドーンが座り、ドーンのいた椅子にフィリス(伴美奈子)…実業家風、
 ポールが消える。ここにフラッフが登場する。フィリスの年下の恋人風・・・

 五場(メニュー5)
 フラッフが消えて、ジャック(吉野容臣・・・・ビジネスマンの成功者風で背広姿)がフィリスの夫になり、
 フィリスは実業家を辞めて有閑夫人に
 ドーンが実業家?、バリーは落ちぶれて…

 六場(メニュー6)
 ドーンとフィリスの二人になり・・・・・男たちは消える・・・・

 七場(メニュー7)
 最後に残るのは、フィリスのみ・・・・レストランでウエイターを呼び、男を引っ掛ける・・???

 以上のような展開だ。田舎ではありえない日常を展開しているニューヨーカーたち・・・

 こんな戯曲世界を、演出と俳優たちはうまく表現していた!!
 

 アメリカ大陸は広くて、日本ではとても考えられないような国である。
都会は東と西の海岸にあるニューヨークやボストンやサンフランシスコやロスアンジェルス。
真ん中のシカゴは例外だ・・・・

その他は全て田舎で、日本の方が国中上げて都会化している。
・・・・だからトランプが大統領になったのだ・・・


 したがってアイヴスの戯曲の世界は、大都会のニューヨークでしか考えられないことで、もしかすると、
アイヴスは〈女嫌い〉かもしれない・・・・どうみても女たちを笑っているようにしか受け取れない。

 男を気の毒がっているのか・・?? 

そういえば、マゾヒズムの始まりと言われている「毛皮を着たヴィーナス」(マゾッフォ作)の映画化の脚色を
アイヴスはしている。「毛皮のヴィーナス」・・・・だ・・・

 ロスの中・高級住宅街の妻たちの日常を扱ったドラマがあったのを、思い出した。
   男たちを入れ替えて付き合う女たちと悩まされる男たち・・・・

 これも、もしかするとアンチフェミだったかもしれない・・・・世の中、女がだんだん住みにくくなる・・・・

       非常に興味深い舞台であった。

 
 
 
 
 
 



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