井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 宝塚宙組朝夏まなと主演「王妃の館」(浅田次郎原作、田渕大輔脚本・演出、宝塚大劇場)

<<   作成日時 : 2017/03/04 16:38   >>

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宙組の「王妃の館―シャトー・ド・ラ・レーヌ」を観た(2017年2月26日マチネ 宝塚大劇場)

 朝夏まなとを中心にした奇想天外な舞台は、上手にまとまっていた。
新人演出家の田渕の出発はまずまず、成功!!

 浅田次郎の原作は未見、水谷豊の映画は、ずいぶん前に飛行機の中で見たことがある。
映画とは筋は似ているが、かなり異なるから、田渕が出演俳優に合わせて新たに作ったと考えていい。
その点では、田渕の作家としての力は認めていいだろうが、いくつか問題はあった。

最後が、「めでたしめでたし・・・」で終わらせるために無理にまとめたのが、芸がない・・・・
まああ、奇想天外な話だから仕方ないが、次作はもう少し骨のあるものにした方がいい。
そうしないとお手軽な作家で小さくまとまってしまうだろう・・・・

 弱小旅行会社社長兼案内人桜井玲子(実咲凜音)と若い気弱な社員戸川光男(桜木みなと)がダブルブッキングのパリツアーを計画。
 経営困難なシャトー・ド・ラ・レーヌの支配人(美月悠)を巻き込んで、
昼(影ツアー)と夜(光ツアー)に各々部屋を使えるという奇想天外な計画だ。

 光ツアーは、流行作家の北白川右京(朝夏まなと・・・コミカルな作家を上手に演じた)、雑誌社の早見リツ子(純矢ちとせ)、成金でラスベガスに遊技場を計画している金沢貫一(愛月ひかる・・・・汚れ役を二枚目が上手に演じていた)と恋人で風俗で働いているようなミチル(星風まどか)、工場経営者の夫婦下田(寿つかさ)と妻のふさ子(美風舞良)たち。現地案内人のパリジャン・ピエール(和希そら)。
 

 影ツアーは、元教師夫妻の岩波(一樹千尋)と妻の正枝(花音舞)、単身の警官近藤誠(澄輝さやと)と同室の女装好みの男性クレヨン(蒼羽りく・・・・秀逸だった!)、怪しい夫婦丹野二八(凜城きら)と妻の真夜(彩花まり)ら。


 この城に夜な夜な現れて、かつての恋人を探しているルイ14世(真風涼帆)と侍従のムノン(松風輝)。
子をなした恋人ディアナ(伶美うらら)とルイとの子供(遥羽らら)。
ルイの母君アンヌ(瀬音リサ)、妻のマリー・テレーズ(愛白もあ)。

 この集団は、現実離れした何百年前の人々の雰囲気を出していて、皆、上品で王侯貴族になっていて
舞台に奥行きを生み出していてよかった!!!!

 この三グループが入り乱れるわけで、下田夫妻がパリに心中に来ていること、下田の元先生が岩波で
「つらいときこそ笑え」といったという一言から、すったもんだの末、死をあきらめる。

 怪しい夫婦は、泥棒で金持ちの金沢が買ってやったミチルの荷物を捕ろうとして発覚・・・・

 最後には、金沢が下田の借金を肩代わり、下田を新しいラスベガスの店でやとい、怪しい夫婦も支配人としてやとい、髪がないのを苦にしてかつらをかぶっていた金沢も無事にみちると結ばれ・・・・おまけにシャトー・ド・ラ・レーヌの経営まで救うという…・・

 主人公の右京は、ルイ14世の隠された恋愛とツアーを種にして、無事小説を完成・・・・

 全くできすぎた話でおわる・・・・・

登場する人々の個性と俳優たちの個性が巧く一致して、しかも皆が熱心にいい芝居をしていたから、
誠にいい舞台が出来あがってはいたが、まとめ方があまりにお粗末であった。

 これが商業演劇と言ってしまえばそれまでだが、宝塚は、そうあってほしくない集団だ。

 これも文学座の「食いしん坊万歳」と同じで、
作の物足りなさを、組全員の俳優たちの演技や歌や踊りで補った舞台であった。

 宝塚は、楽なエンターテイメントをあまり求めず、実のある舞台をつくってこそ、存在理由があると思っている。

  田渕も、これだけの登場人物を上手にまとめ展開させて舞台を作り上げたのだから、演出力がある。
次回は、新作で力を発揮して、いい舞台を生み出してほしい・・・・・期待している・・・・


 ショー「VIVA FESTA!」(中村暁作・演出)

  ショーは、優雅な部分や力強い部分、洒落たシーンなどがあり短くまとまって楽しい舞台を展開。

 特にそうらん節の部分は、観客も舞台も一つになって大喜び・大賑わいであった。

   一階だけではなく二階にも登場する客席降りは、観客を喜ばせていた。

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