井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 映画「ザ・ダンサー」(ステファニー・ディ・ジュースト監督、文化村シネマ)

<<   作成日時 : 2017/06/08 08:50   >>

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ジュースト監督・SOKO主演 「ザ・ダンサー」を観た(2017年6月7日文化村シネマ)

 これは19世紀末から20世紀初めに新しいダンスの世界を生み出したロイ・フラー(Loie Fuller 1862−1928)を題材にした映画だ。

 しかし筋の展開は、監督のフィクションである。

アメリカでの生活は、わたくしがニューヨークの図書館で調査した内容とは異なるし、
その後のパリでの在りようも違うから、
一人のアメリカ人女性が、新しい世紀に向けてダンスで新境地を開いた物語と受け取ることだ。

一代記ものと考えるとガッカリするだろう・・・・
 

新しいダンスを切り開いたイサドラ・ダンカン(1877−1927)との付き合い方なども、
映画に描出されたものと同じかどうかも不明。多分違う・・・・・・のではないか・・・・・

おまけにオペラ座で、旅芸人の日本人芸能者が傘をもって踊るなどあり得ないし…
・・・・あまりにも噓っぽ過ぎて唖然とした・・・・・

あんなものが受けるはずもない・・・・

 欧米映画に日本人を登場させるときは、監督はもっと勉強しなくてはいけない。


 オペラ座の屋根裏の部屋に、貞奴が「Le Theatre」誌の表紙を飾った写真が置いてあった。
それをみてロイが、美しいと感動していたが、これも時期的にはあり得ない誤りだ。

 表紙を飾った雑誌が出たのは、1900年10月で、貞奴は道成寺の衣装を着て写っている。
パリ万博で、川上一座がロイの持っている劇場で『芸者と武士』「袈裟」などを演じて、一座が人気者になった時。

つまりロイは既に有名人であった。そして興行師でもあり、お金もあった。


詳細は、わたくしの『川上音二郎と貞奴 世界を巡演する』(社会評論社2015)を見れば了解できるはず。

 そうした研究を続けてきた身としては、いかにも作り物めいていて、困った。

 つまり新しい〈電気踊り〉(川上はそう呼んだ)をして、クラシックバレーとは異なる新舞踊を始めた女性が、
後援者に出合い、チャンスをつかんでいくまでの話と見ればいいのかもしれない。

ロイ役のSOKOは、今どきの美を追求する空疎な女優と異なり、存在感もあり知的だが、
十分に力を発揮していない感がある。

伯爵のギャスバー・ウリエルが個性的で素敵だが、

イサドラ役の有名女優りりー=ローズ・デップはミスキャスト。 

ロイの後援者で付き人のようなメラニー・ティエリーも素敵・・・・・等々・・・・・(プログラム未見)

 あまりいい出来の映画ではない。

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