井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 映画「ローマ法王になる日まで」(ダニエル・ルケッティ監督ロドリゴ・デ・ラ・セルナ主演)

<<   作成日時 : 2017/06/14 11:02   >>

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「ローマ法王になる日まで」を観る(2017年6月13日有楽町イトシア4F)

 この映画には久々に驚かされた。凄いの一言! (断っておくがわたくしはカトリック信者ではない。)

☆まず万々歳の聖人伝ではない所がその理由の一つ。


☆今一つは、恐ろしい政権下での人民への弾圧の描出。

この映画に描出されている軍事独裁政権下の弾圧は、
これからわたくしたちの国の現実になるようで
寒々とした恐ろしさと身震いを感じた。
スパイがいるのだ。そして人々を扇動する・・・・これが恐ろしい・・・
善意の人々はすぐに騙される・・・・明日は我が身だ・・・・


☆そして最後が闘う神父集団と人々の姿。

 是非法王に日本に来てもらいたい。「日本を救って!!!」  思わず叫びたくなる。

今朝の朝刊によると、政府は明日にも共謀罪を成立させる意向だとか・・・・何と恐ろしいことか…
わたくしたちは多くが反対している。その現実に知らんふりする政府・・・・

国民は反対しているにもかかわらず、報道する新聞・ラジオ・テレビはほんのわずか。
あたかも人々の意識をそらすかの如く、殺人事件や芸能ニュースを流し続ける・・・・・欺瞞・・・・



 フランシスコ法王(教皇)は、アルゼンチンのベノスアイレス生れでイタリア系アルゼンチン人(1936〜)

南半球出身の初の法王で、一説にはイタリアのローマ・ヴァチカンはイタリア人の法王を望んでいたとか・・・・
フランシスコの名も初めてで、イタリアのアッシジのフランチェスコから取った名前とか・・・・・
イエズス会出身の初の法王・・・・

 アッシジのフランチェスコは、有島武郎が感銘を受けていたことなど思い出す。
 (『有島武郎事典』の「演劇」の項を参照されたい)

 しかしそうした話は、この際どうでもよい。出演した俳優たちのすばらしさ・・・・・力強い演者たちだ。

 ホルヘ・マリオ・ベルゴリオは、1958年にイエズス会に入会して神学校で学ぶ。27歳の時だ。
ここは、教育・宣教・社会正義を三つの柱にしている。これをホルヘは、実践した。

わたくしたち日本人にとっては歴史で学ばされた――キリスト教を日本にもたらしたあのフランシスコ・ザビエル
たちが作った男子修道会だ。そしてイエズス会は、上智大学や聖イグナチオ教会で巷間に知られている。

  ものすごく勉強している、法王(教皇)! 

 日本の権力者がいらないと言っている文学・心理学を重視・習得し、化学で大学を卒業。
なにしろ教育が柱の一つだから、修士を得、その後博士も得る・・・・

 一般信者のふと漏らした言葉に耳を傾け、心に刻み「結び目を解くマリア」の画像に打たれる。
そして布教に持ち歩く・・・・これは文学・芸術を重視する姿勢がなくては得られない行為だ。

 他方では権力と闘い、貧しき者や迫害を受けた人たちに手を差し伸べ、
教会組織の抑圧に疑義を投げかけ・・・

そして軍事政権下でも可能な限り闘うが、沈黙せざるを得ない状況に悩み・苦しみ・・・・
軍人には捕虜になった神父を解放させるために交換条件の政治的行動もとる・・・・・

 解放された神父の精神的ダメージに、あなたの所為だとシスターが批判すると、
「シスターのくせに反対するのか・・・」と言い、
それに負けない高貴なシスターの意見を怒りながらも受け入れるホルヘ・・・・

 なんと人間的であろうか・・・・・ ホルヘの正負の姿を描出している・・・・監督に拍手

 そうした若き日の法王を描きながら、選出されるまでの日常を追う。

(ちなみにヴァチカンは法王ではなく、教皇としているが、日本政府は名称の変更を拒否しているそうだ・・・)


 共謀罪が、治安維持法と変わらない法律となるのは、目に見えているし、
せっかく止めた原発もあちこちで再開されるし、
女性の活躍とか言っても、口だけで、
女系はダメ、男系のみの天皇とかいっている。・・・・矛盾だらけ・・・・

 その内軍隊も大幅に構成されて、スパイがはなたれ、
戦争への道を歩み始めるようになるのかと思うと、誠に恐ろしい限りだ。

 平和は遠くなる日本で・・・・・スマホに夢中で気づかない人々にこの映画を見てほしい・・・

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