井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 藤沢 遊行寺薪能(第32回 遊行寺境内特設能舞台 2017年8月)

<<   作成日時 : 2017/08/26 13:19   >>

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「遊行寺薪能」を観る(2017年8月23日 遊行寺境内)

 久し振りで薪能を観た。 暑さを吹き飛ばす興味深い演能であった!
 (主催は実行委員会だが、かながわ信用金庫と藤沢市・藤沢商工会議所・藤沢商店会などなど)


 当日のプレイビルから、「遊行寺薪能」次第を引こう。(演能は宝生流宗家とその一門、狂言は大蔵流一門)

 1 すすき念仏  2 挨拶並びにお祝辞  

 3 能「岩船」 シテ高橋 亘 ワキ館田善博 ワキヅレ御厨誠吾    問 山本凛太朗

 4 火入れの儀  5 狂言「口真似」 山本泰太郎・山本則秀・山本則孝

 6 能「黒塚」 シテ宝生和英 ワキ館田善博 ワキヅレ大日方 寛 問 山本則重

   附 祝言 高砂

  ☆     ☆     ☆

「すすきの念仏」は、初めて見た!  

 これが面白い。若い修行中の僧がたしか6〜7人で謡いススキを中にして回る。練り歩くだけなのだが、これが洒落ていた。足の歩み方が、能と似ていたのである・・・・・さすがに踊念仏の時宗だ!  と感嘆。

能「岩船」

宝船のことで、藤澤は海に近いからこれを選んだと演者高橋亘が記していた。

確かに後シテに龍の宝舟が出てきて、頭に乗せていた。大漁を祝うものらしい。

狂言「口真似」

狂言は現代語に近い話言葉で語るから、大勢の観客は大喜びで、喝采される。

いにしえの人は、実によく考えて演目を立てていたと、つくづく思う。

悲劇と喜劇、重厚な能とおどけた笑い、結構な取り合わせだ。

能「黒塚」 

猿之助の「黒塚」を観ていたが、能の「黒塚」は観たことがなかった。

実は、これが見たくて寺からチケットを頂いた。(我が家は、檀家である)

観世流では「安達ケ原」というそうだ。宝生流と市川家は「黒塚」という。



映画にも度々なっている。なんとなく白石加代子が出てきそうで、ここが、わたくしの単純なところ。


安達ケ原に住む老婆の家に、僧が二人訪れて一夜の宿を乞う。

実はこの老婆、鬼女で人間を食らっていきていた。部屋には人骨が山のようにある。もちろんそれはみせない。
想像力を発揮しなければならない。つまり古人は、想像力も豊富であったということだ。

外国ではドラキュラで、こちらの方は宝塚のミュージカルでよく出てくるが、洒落ていて素敵な男性。
日本ではいつも鬼女だ・・・・・

   この差は何なのだろうか…・  同じ血を吸うのに・・・・???  文化の違いをまざまざと感じる。

「黒塚」は、後シテで鬼女になって出るが、僧に念仏で退治されてしまう・・・・・

歌舞伎舞踊は派手だが、地味な舞台で恐怖を感じさせるのは凄い。

   暑さを忘れる興味深い演能であった。

この日は特に暑くて・・・・・観客は、おしゃべりしている人もいたけれど、みんな暑さをものともせず舞台に見入っていた。

演者は、さぞ暑くて大変だったことだろう…・・仕事とはいえ、暑くなった日本での夏の演能は、地獄だと推測

まことにお疲れ様であった。

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