井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 宝塚花組 明日海りお・芹香斗亜「ハンナのお花屋さん」(植田景子作・演出)

<<   作成日時 : 2017/10/11 07:47   >>

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明日海りお主演、「ハンナのお花屋さん」を観た(赤坂アクトシアター 2017年10月10日)

 植田景子の久しぶりの新作は、今の世界が抱えている問題を取り込み、明日海の品がよくソフトな部分の個性を生かした興味深い舞台だった!!!

 まさにキャッチ・フレーズの「ハートウオーミング」の芝居だが、実は人間が冒した重い過去の傷がそこには隠れている。  

 是非、多くの人に見て貰いたい舞台だ!!

 今や商業演劇の雄といってもいい宝塚で、地球環境や人種問題、戦争と平和を「花屋」という労働の場を通して、しかも花組のスターたちを生かしながら作るとは、思わなかった。拍手喝采だ・・・・・


  舞台全体が、ロンドン郊外のハムステッドを舞台にして、緑で彩られ、装置かいい。
綺麗な空気が流れているような感じ・・・・宝塚舞台は、本当にすごい!  小道具もなかなか・・・・だ。

 ロンドンは、空が見えない。星空は殆んどない。いつもどんよりしていて、太陽の姿もみえない。

ロンドンは、世界で一番好きな都市だ。
が、一年中ほとんど同じ気候のこの街には、初めて行ったときには、本当に驚いた!


 明日海りおのフラワーアーティストと経済担当の瀬戸かずや、そのほか店で働く人たち。このチームワークがとてもよくて、みんながそれぞれの役割をこなしていていい。

 クリス(明日海)はデンマーク出身、父アベル(芹香斗亜)は貴族出身で現在は工場経営(何を作っている工場かは聞き漏らした)。

 (アベルと言う名前も、ギクッ! カインとアベル・・・)

若いころに自身の領地で出会ったお花を売っている娘・ハンナ(舞空瞳)と恋に落ちる。

この世のものとは思われないような自然の中の恋に夢中になる二人が根底にあって、この芝居が成り立つ。

 大体夢のような恋というのは、若い時しかできない。そういう意味でも理に適う・・・・・。

 芹香は、また成長した。明日海と似た感じで、二人が親子と言ってもうなづける感じだ。

 面白いとおもったのは、アベルは、経営がうまくいかなくなり資金援助を婚約者の銀行家の父に頼むために結婚するという行為。・・・・実はこれが現実だ。結婚は上流階級では政治であるから・・・・・

 必然的にアベルは悩みながら、ハンナと息子クリスを捨てることになる。
が アベル所有のデンマークの領地内にある屋敷に住んでいるから、経済的にはアベルがささえていたと推察。

 ハンナが工場の火事で死ぬ。  クリスは父の家に引き取られ、やがてスイスの寄宿舎に入り、大学はオックスフォード。  そして今は、花屋・・・・

ブログで店の紹介・宣伝をしていたり…非常に今風な・・・花屋

 花屋と言うのは、大きなホテルのイベントやパーティーの装飾を請け負って成り立っている。
クリスの店もそうだった。  

 クリスの誕生祝いで始まるこの芝居、基調に流れるのはクリスの両親の話で、ママ大好きなクリスが(いってみればマザコンだ・・・・これが明日海によく合う)、ママの名前をとった花屋を開店・・・・

 そこに移民の娘ミア(仙名彩世・・・・風邪をひいているのか、マイクの調子か、鼻声だった…早く治すといい)が、きてなんとなく田舎風に、クリスは惹かれる。

 特別な激しい恋愛模様がないから、昔からの宝塚ファンは、不満かもしれない。

しかしこれが現実だ。嘘っぽくなくていい。

 明日海りおは、激しさのないこの役を、相棒の瀬戸かずやと上手に色合いを変えながら今風の若者を作り出していた。  

 そしてクリスも父親と同じように、資本家への道を歩むが、それが自然と向き合いながら人を平和な状況へ導く事業と言うのだから、理想的。

ここで日本人がつくった絵本「地雷でなく花をください」が生きてくる。(AAR Japan を検索して)

 特別な個性があるわけではない登場人物を、すんなりできるのも明日海りおならではだ!

植田景子は、よく俳優をみている。 

 (音楽が生演奏なのも素晴らしい!!!)  是非劇場へ・・・お出かけを。
 

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