井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 「ザ・モニュメント 記念碑」(C・ワグナ−作、神保良介訳、川口典成演出、西田夏奈子・神保良介出演)

<<   作成日時 : 2018/01/25 11:56   >>

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川口典成演出のカナダの戯曲「ザ・モニュメント 記念碑」を観る(ゲネプロ2018年1月24日 プロト・シアター)

 これは1995年にカナダで発表され総督賞を得た秀作。
ヨーロッパでは各国で上演されているが、日本では2014年にこのカンパニーで初演した。
今回は、同一メンバーによる再演。(台本未見、初演未見)

 その後2016年に、名取事務所が小笠原響演出で上演した。確か見た記憶がある。
過去のブログを検索したが、書いていなかった。忙しかったのかもしれない。


 さて、今回の舞台、二人の俳優が渡り合う興味深いもの。これは架空の国の話という事になっている。
が、もちろんどこの国でも勝者は、敗者の女たちをさらい強姦する・・・・・という事実は太古の昔からある。

この事実に対して人はどう感じ、考えるかという問題が提出されている。


命令に従う、従わざるを得ないということで、自分には無縁であるという理由で、平気で他者(女たち)を凌辱する。
そこには人権も尊厳もない。


死刑囚の元兵士(神保)は、戦争中に敵国の女たちをさらい、兵士たち多数で強姦(レイプ)した。
その後森で銃殺した。20人以上の女たちを・・・・

その罪で、生き残った彼は、死刑を言い渡され、電気椅子に居る。

そこに一人の女(西田)が登場して、〈自分の命令に従うなら救ってやる〉という。

この芝居には全て〈二者択一〉の問題提起とその答えがある。

つまり元兵士は、死刑で死ぬか、女のいう事をきくという約束で死刑を免れるか、のどちらか・・・・

このあと女メイラは、常に彼にAかBかで、行動の決定を迫る。

つまりこの作者、常に〈二者択一〉で迫られた場合、人はどのようの行動するのか、三番目の答えを生み出すことが出来るのか、できないのか、も問うているように感じだ。

そして人は、常にその二つのどちらかを選ぼうとする。
問題を突きつけた存在が、権力者である場合、必ず権力者が喜ぶ、或いは提案する答えを選択する。
その場合、弁明する言葉は、それ以外ない、どうすればよかっというのか・・・・である。

ちがうだろうが・・・・といいたい・・・・・

この元兵士ステツコは、囚われの女たちを銃殺した。しかも強姦して・・・

その状況は彼を性行為が出来ない…・不能というところに追いこませていた。
が、ステツコはそれについて深く考えることをしていない。


メイラは、強姦の状況・殺した状況・埋めた場所・・・・等々を順次追い詰めて口をわらせる・・・・


この舞台は、本日から始まる・・・・内容にはこれ以上触れない。


二人の俳優と演出家が、二時間弱の舞台で多くの考えるきっかけを与えてくれている・・・

人が生きるとはどういうことなのか・・・ 

戦争は人に何をもたらすのか・・・・

あるいはまた、戦時でなくてもわたくしたちは常に〈二者択一〉を迫れれていて、
それに従っているのではないか・・・・・

資本主義社会で、しかも家父長制下で・・・、人はどう生きれば他者を傷つけずに済むのか・・・・・

男と女はどう生きればいいのか・・・・・ 人は自分の事だけを考えていればいいのか・・・・

男は、自分に関わりのある女(母・姉・妹・恋人)だけを大事にすればいいのか・・・・・

男は女を強姦するが、なぜ女は男を強姦しないのか・・・・・


多くの問題提起がされている。是非、舞台を見て考えてほしいと思う!

俳優たちは、上手に世界を構築している・・・・   是非一見を・・・!!


高田馬場から13分ぐらい歩く。プロト・シアター  高田馬場3丁目38−3   下落合から7分

1月25日 19時半、  26日 14時と19時半、  27日14時と19時半、  28日14時、 3000円




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