井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 前進座「人間万事金世中」(河竹黙阿弥作、小野文隆演出、国立劇場公演)

<<   作成日時 : 2018/05/15 22:19   >>

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前進座の「人間万事金世中」(黙阿弥)を観た(2018年5月15日国立劇場大劇場)}

 演劇史上有名な散切り物。イギリスのリットン作「MONEY」の翻案作で初演は1879(明治12)年、新富座。

お金を稼ぐことにしか興味がない横浜の商人辺見一家(藤川矢之輔・山崎辰三郎・玉浦有之祐)と
養ってもらっている親を亡くした甥の恵府林之助(河原崎國太郎)、同じく姪おくら(忠村臣弥)が主軸の話。

 長崎の伯父の遺産を巡って辺見やその親類たちが右往左往する。
「金」に踊らされる開花時(明治初期)の現代人間模様・・・・まさにこの言葉がぴったりだった。

 一度も観たことのない翻案劇第一号を観に行ったかいがあった。

これは外国人が見に来た芝居という事でも有名だった。
話が理路整然としていたから外国人にもよくわかっただろう。

 黙阿弥もなかなかやる・・・・

 黙阿弥が明治になって福地桜痴の翻譯作「金」を日本を舞台にして書き直したのだが、
極端に金に振り回される愚かな人々を描出していて、面白かった。

 言ってみればほぼドタバタ喜劇であるが、つまらぬ人情劇になっていなくて驚く。

シビアーな人間模様が展開していた。なんと人間はおろかか・・・・と笑っているのである。

劇構成も序幕でほぼ伏線が張られ、次々に近代劇の如く話が展開しているのにも驚く。

騙したり、裏をかいたり、正直だったり、純粋だったり、
単純明快な当時の人々の在りようが描かれている。

 林之助とおくらの河岸の場でガス灯や月や煉瓦塀が装置で描出されていた。
これはまさに明治という時代の新しさを表現している。

これには、時代物や心中物の歌舞伎ばかりを観ていた人々には大きな衝撃であったことだろう・・・・!

 明治のかぶきがどういうものか知りたければ国立劇場に・・・・・5月22日までやっている。
二階席はほぼ空いていたから、当日売りは充分あるはずだ・・・・

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