井上理恵の演劇時評

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zoom RSS 川上亜紀詩集『あなたと わたしと 無数の人々』(七月堂発行)

<<   作成日時 : 2018/05/26 08:45   >>

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川上亜紀の詩集『あなたと わたしと 無数の人々』を読む(2018年5月25日)

 発行所 七月堂 03−3325−5717(fax ―5731) 世田谷区松原2−26−6

 川上亜紀さんは、演劇科のずっとずっと年若い後輩だった。
詩集は、4月25日に出た。 この一月に大急ぎで灰色の雲の彼方へ逝ってしまった。


 詩集に添えられている「栞」に詩人川口晴美と北爪満喜の一文が収められている。

川口晴美は「笑いと祈り」の中で、次のように書く。
 「独特で不思議な感覚・・・・・他ではあまり感じたことがない・・・・」
「自然な滑らかさのある文体には日常に潜む平穏と不穏が絶妙のバランスで宿っていて、
だからこそ静かな光を危うく湛湛えているような詩行を、
ゆったりとした歩行や路線バスのスピードでたどっていく。」

北爪満喜は「上質なユーモアに結ばれる」の中で、
 「この詩集を読んでいると、心が鎮められるのはなぜだろう。
しなやかでいて凜とした掌で掬い上げられるような感覚に包まれた。・・・・」


☆彡    ☆     ☆   目  次  か ら ☆     ☆    ☆彡

 〈四月のバスで荻窪駅まで〉―― (涙がこぼれる!
 「生きていると感じる瞬間がゆっくりと過ぎていく /
そこに喜びはみあたらないが / わたしはバスを降りる準備をする」

 〈蜂たちはどこへ?〉―― (悔恨・捉えようもない哀しみがみえる
 「いまは光の色が変わるとき・・・/
締め切った家を掃除しに行ったとき / ベランダの片隅に蜂の巣がおちていた /
灰色になった古いスポンジのようだった / わたしはそれを捨ててしまった /
(あれはほんとうに蜂の巣だったのだろうか)

〈あなたと わたしと 無数の人々〉−−〈…同感・・同感・・・・
 「ひとが三人いて二人にしかわからないことがあるということは / あまりおもしろいことじゃない / 」
 「…トラさんは・・・そのままシンジゃッタ という・・・」
 「そんなふうに雲の上には知っているひとも知らないひともいる/////
「あーあ、みんなシンジャッタ」 / と父は言ったものだけど」
 「未来について語るべきことなんかないとしても /
空から訪れる太陽の光のなかでは懐かしい記憶だけでなく /
わたしの知らない過去のすべてまでがちりちりと燃えているから /
このさきにはもうほんとうに恐ろしいことなどありはしないと思う /
オガワのトラさんは雲の上で・・。」

  ☆彡   ☆彡

 川上亜紀さんは、おっとりしていて・・・思慮深く慧眼・・・・・・・若い若い後輩だった

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