宝塚花組 柚香光・華優希お披露目公演「はいからさんが通る」(大和和紀原作、小柳奈穂子脚本・演出、宝塚大劇場)

花組の柚香光・華優希・瀬戸かずや・水美舞斗・永久輝せあ・聖乃あすか等の「はいからさんが通る」を観る(2020年7月28日大劇場)

新型コロナウイルス蔓延で閉じていた大劇場がやっと再開可能になり、防菌の厳粛な体制の中で上演した。

世の中が沈んでいる時にうってつけの未来の見えるいい舞台だった!!

何ものにも負けず頑張る登場人物たちの姿は、〈虚の存在〉とはいえ勇気を観る者に与える。

柚香光・華優希のお披露目と舞台再開とが相まって、おめでたいことであった。
二人は、見事に期待に応えている。

そして新たについたフィナーレも、素敵だ!!! 

結婚式を模した白い衣装の二人も上品で美しくとてもいい。
男役の燕尾も軍服も新鮮で、新しい門出を表現しているよう・・・・
新生花組の未来は明るい~~~

すでにこの舞台は、2017年に公演されている。確か観たが、ブログを探したがないから、書かなかったようだ。

今回は再演に際し主要な配役に変化はないものの、大劇場用に脚本を部分的に改めて原作にないものを加筆し、
配役も一部かわった(原作・台本未見)。

主人公の伊集院少尉忍(柚香光)と婚約者花村紅緒(華優希)、
鬼島軍曹(水美舞斗)伊集院伯爵(英真なおき)、紅緒の父(冴月瑠那)、弥生(美花梨乃)、蘭丸(聖乃あすか)、ロシア貴族夫人(華雅りりか)、紅緒の教育係如月(鞠花ゆめ)らは初演と同じ。

新配役は、初登場の青江冬星の義父(羽立光来)、息子冬星(瀬戸かずや)、芸者(朝月希和)、伯爵夫人(美穂圭子)、
花組デビューの高屋敷要(永久輝せあ)、華族令嬢環(音くり寿)、牛五郎(飛龍つかさ)ら・・・

僅かな登場で役を表現している、美穂・羽立・朝月・永久輝は、とてもいい。
そして髙翔はじめ反体制の人々も・・・・!

筋は、たわいない。
新しい女を目指す少女たち二人(紅緒と環)のギャップと
大人ぶった明るい良家の相続人の内に秘めた懊悩
(――実は彼は日本人の軍人とロシア貴族の女性との息子である。大日本帝国軍人の権威ある陸軍の中ではイジメられていると推測される)陸軍は、日本の近代史の中では問題が多い・・・・インテリジェンスを一手に仕切っていた。それが今でも残っていて、
コロナの医療対応に響いているのである。恐ろしい

彼らを取り囲む訳ありわがまま息子冬星、明治に登場して既に時代遅れになっている車引き牛五郎、等々が、

日露戦争後で国家の弾圧が目に見えないようにソフトに展開されていた〈大正期〉に生きる。
ソフトな権力・・・・まさに現在の日本のようだ!!!

こんな社会であるから、一目散に新しい女のハイカラさんの道を歩む紅緒と華族の娘環の道はジグザグだ。
紅緒は、白い喪服を着てしまう意識では、新しい女には絶対になれないし‥‥

新しい女を生きようとするお転婆環(もっとコミックにした方がいい・・・・)が歩む世界は、実はとても険しい・・・・
鬼島についていったら‥‥満州浪人と従軍女性記者になる・・・・し・・・・戦争謳歌する以外ないだろう・・・

忍少尉は、表面は穏やかだが内心は複雑・・・・そんな忍を柚香光は、おっとりと時に影を見せて演じていて、
今後が期待できるスターに確実になった。

二項対立は、既に20世紀の遺物であるが、この芝居の場合、おそらく原作の意図しない側面であろうが、
登場人物を未来に生きる可能性のある存在と終わりになる存在とを分けて明確に表現すると、時代の過渡期がより鮮明になるように思った。

この内容は、演じようによっては実はたわいないものではないのかもしれない、そんな気がする。

特に未来を見つめる可能性を秘めた紅緒と消えていく存在になる車引き牛五郎の関係は、興味深いものがある。

紅緒と蘭丸も同様で、蘭丸は声をもう少し低く表現した方がいい・・・
女形修業中の身であるからまだ女性に近い声にはなっていないはず。

花組は、現在の宝塚ではあらゆる意味で重要な存在であると見ている。
今後の舞台づくりが大いに期待される組だ。

そして稀有な、何年に一度しか現れないトップ二人をさらに開花させるべく、
さらには花組のたくさんいるスターたちを十二分に生かすべく、
是非新作を与えて、新たに来た永久輝せあにも、もう少しやりがいのある役を与えて、・・・・
大きく育ててほしい・・・・と、思った次第。

しばらく漫画は止めて、新作舞台を観てみたい。大いに期待している。